【ネタバレ有】タイトルから本気勝負。吉岡平『火星の土方歳三』でトシさんの活躍を永遠に応援する

『火星の土方歳三』

( ゚д゚) ・・・ 

(つд⊂)ゴシゴシ 

(;゚д゚) ・・・ 

『火星の土方歳三』

(つд⊂)ゴシゴシゴシ 
  _, ._ 
(;゚ Д゚) …!?

※この記事は以前のブログから改稿して転載してものです。

1869年5月11日、土方歳三は函館郊外で散弾に仆(たお)れ、魂だけの存在となってしまう。
しかし、彼は死してなお斗(たたか)いを欲し、斗える場所があれば、躊躇うことなく行ってみたいと願っていた。そんな土方が夜空を仰ぐと、天空には欧米で戦の星とされている火星があった。
いっそ火星にでも行って、そこで再び斗いたいー そう火星に両手を差し伸べた土方の魂塊は、

一瞬にして地球と火星の間の隔たりを跳躍したーーー!?

跳躍したーーー!?

と、裏カバーの説明書きの時点でいろいろと疑問や疑惑が浮かぶでしょうが、
まず、とにかく、とにかく、読んでください。

話はそれからだ。そのくらいおすすめ。

「死後の土方歳三が火星に移動して大暴れ&大活躍する」話ですが、このトシさん(死後)の大活躍の仕方がとにかくすごい。

まず、函館での死を向かえた直後、魂だけの存在になった歳三は、「どうしよう・・・」と途方にくれ、マッパで体育すわり。ここからお話は始まります。

本編前からクライマックス。

死亡直後のトシ、自分のご遺体を前に嘆く面々を見ながら

「オレ、こんなに慕われてたっけ・・・?」

と不思議がります。

どうやら自分は死んだらしいが、コッチには総司も近藤さんもいるけど、あ、待てよ、芹沢や山南もいるな・・・と、かつての(生前の)自分の行いのツケがまわってくる可能性を思い気弱になります。

え?そこ?
この状況でそこに注目?

アンタしんでんだよ?

おポンチな心配事をめぐらすさまに、クール&ビューティな歳三像が一気に崩れ、もうこの前段だけでつらい。

この先をこのまま読み進めるのに耐えられるのかどうか、試しにきてる。
この本は電車の中で読んではいけない部類なのではないだろうか?と、早々に警戒心MAXです。

火星にワープしてからが本番。

その後、どういう仕組みなのかトシさんの魂は火星にぶっとび、再び肉体を得ます。ここからが「火星の土方歳三」物語の本番です。

ここからは秀逸な挿絵と共にダイジェストでトシの活躍をお楽しみください。


マッパに腰ミノ一丁でモンスターに挑みかかる歳三!

でっかいハチを制し空に舞う歳三!

パンイチ(パンツ一丁)で美女を守りつつ巨大モンスターにケンカを売る歳三!

火星でかなり無理矢理ダンダラ模様の羽織を作り、新撰組を再結成する歳三!


ちなみに近藤勇ポジションはこの人(人?)。
「口にゲンコツが入るからオマエしかいない」という、歳三のみが納得する超理論で、訳もわからず局長に就任。腕が4本。

美女を小脇に抱えた怪物と戦う歳三!

まんまキングコングじゃねえのかこれ?

このように、ハリウッド映画さながらのスケールで大活躍する歳三。

歳三が転生(?)するのは、エドガー・ライス・バロウズ『火星シリーズ』の小説の舞台、バルスームという世界なのですが、私のように、この『火星シリーズ』をまったく知らなくても死ぬほど楽しめます。

私はずっとバルスームをバスルームと読んでいました。

油断できない展開。

ちなみにですが、SFと思って楽しんでいると、ちょくちょく新撰組ネタが投下されてくるので、油断してるとふきだすはめになります。

たとえば・・・

火星に到着して混乱が一段落した歳三は、フと空に浮かぶ2つの月を見てムラムラとし、いてもたってもいられなくなり、さっそくアレをやらかします。

マ、待てーーー!トシーーーーーーーー!!!

いや、ほうぎょ・・・

「熒惑の 双つの月の 夕べ哉     豊玉」

豊玉キターーーーー

しかも「ここにはこの風情を理解する奴がいない」とぬけぬけとほざく豊玉。

後でとくいげに披露した句を火星人にさんざんバカにされ、憤慨したりする、
世界が変わっても安定の豊玉クオリティを発揮したり。

気に食わない敵を突然「鳥ヤロウ」呼ばわりし、「鳥の名前がつく嫌な野郎」と比喩したり。あれ、それ芹沢さんのことですよね?

そんな常人離れした適応力を持つ歳三が、軍隊での訓練で

「なまじっか狙うから当たらねえんだよ!!」

と多摩なまりで火星人たちを叱り付け、腕が4本だったり皮膚が赤かったりする仲間たちとともに新撰組を再結成し、美女と愛を育み、強敵に挑む一大スペクタクル。

ぜひ読んで、私とこのおもしろさを共有してください。


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