国民を置き去りにフランス脱出を図るルイ16世一家。フェルゼンの手引きでチュイリュリー宮殿を脱出するが、その旅支度は逃亡に似つかわしくない非常に豪華なものだった──。馬足が上がらぬ中、逃亡に気付いたマリーがルイ16世一家が乗る馬車に迫る───!! マリーを迎え撃つフェルゼンだが───!?
フェルゼンだが—!?
ここへ来ても相変わらず変態紳士のフェルゼン。
乳首乳首言うて今回も名言を炸裂させています。
本編を語る前に、本巻のフェルゼンの乳首発言をピックアップしました。
フェルゼン 第11巻・乳首発言集

追跡してきたマリーを女だと知り、この一言。
「マリー…!?男ではなく乳首ちゃんなのか!?」

マリーに気合一閃斬りかかる、戦闘開始の声。
「ビバ乳首ちゃん!!!」
ちなみにこの後も乳首ちゃん乳首ちゃん連呼して、マリーに「ふざけたやつ」とまんまな評価をくらいます。

再び会ったマリーの戦闘能力の高さを認め、敬称がつきました。
「さあ来い 勇ましき乳首殿!!」
乳首殿!!
どんだけおっぱい好きなんだろうか。
極めて変態チックに描かれているフェルゼンですが。
『イノサン』と『ベルサイユのばら』の読者はかぶってるんじゃないかと勝手に推測し、すでに周知の事と思いますが、フェルゼンは本名をハンス・アクセル・フォン・フェルセン(フェルゼン・Hanz Axel von Fersen)という、実在の人物。
スウェーデンの名門貴族であり、フランス王妃マリー・アントワネットの愛人だった彼は、フランス革命時に国王一家の国外逃亡(ヴァレンヌ事件)の手引きをします。
逃亡は失敗し、国王一家はフランスに連れ戻され、国王とマリー・アントワネットはギロチンで処刑されますが、フェルゼンは生涯アントワネットを愛すると同時に、彼女を奪った民衆を憎悪する非情な貴族となり、ヴァレンヌ逃亡と同じ日の19年後にあたる1810年6月20日、民衆に襲われ撲殺されるという最期を遂げます。
アンドレよりフェルゼン派だった。
『ベルばら』を読んだ時点だと、「大人の男」な雰囲気と、何がなんでもアントワネットの側にいようとするガッツ、アントワネット処刑後も彼女を想い続け生涯独身、最期は平民の恨みを買い道端で命尽きる・・・と、色男なのに報われなさ具合がハンパないフェルゼン。

↑右下がベルばらのフェルゼン。いい男は襟が立っている。
イノサンだと前髪パッツンのストレートロングヘアと発言のヤバさで、男っぽいイケメンというよりも、なぜアントワネットが惹かれたのかよくわからない感じになっていますが、イノサンのアントワネットは「極めて普通の女子」ぽい演出をされているから、逆にああいうタイプに惹かれてしまうのかな。
実際のフェルゼンは。
ベルばらにしろイノサンにしろ、「顔が整った貴族」「勇敢で頭が切れて腕が立つ」という描かれ方をしていますが、さて、実際のフェルゼンはどんな人だったのでしょう。

実際のフェルゼン伯の肖像画。
なんというか、イメージ違くね?というか、首長くね?
と、思ったものの、優しそうなイメージで、いかにも「貴族デース!」という感じで描かれています。身につけてるもの金ピカで超高そうだし。
フェルゼンでだいぶひっぱってしまいましたが、
イノサン11巻の話の流れは、国王一家のヴァレンヌ逃亡〜パリへの帰還〜ルイ16世処刑後のアントワネット、そして、高校3年生のアントワネットの日常。

イノサン、こういう比喩が好き。
突然ミュージカルが始まったり、宮廷の人間関係が上辺だけの希薄なものであることを表すのにSNSの画面が使われたり、貴族の女性の雑談が、現在の女子会になったり。これも、アントワネットが今を生きていたら、「いたって普通の女性」だったことを暗示しているのだと思います。
2人のマリー、最終章へ。
マリー・ジョセフとマリー・アントワネット。
ルイ16世はすでにサンソンによって処刑され、アントワネットも処刑までのカウントダウンが始まりました。
苦悩するシャルルの出番が今回は少なかったけれど、次巻はたぶんたくさん出番あるよね。やたらアクの強い他の登場人物達もどう描かれていくのか楽しみです。
というか、イノサン展、行きたかった・・・
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